店頭販売の経験から得た~感謝の心~内面から溢れ出てきた経営理念
「当たり前のことに感謝」し「お客様第一主義」に徹する。
これは当社の経営姿勢であります。
物が売れる、オーダーが来る、ということは決して当たり前のことではありません。しかし、順調に行っている時にはそのことには中々気づけないものなのです。
わたくしは以前ガソリンスタンドの経営に携わっておりました。
ガソリンスタンドはいずれ淘汰される(その通りになりましたが)今のうちに別の事業も立ち上げておかなければと30年前に別会社(株式会社ヌーベルムラチ)を設立、20年数前に農業分野にも進出いたしました。
農業は全くやったことが無く、ずぶの素人。それでもチャレンジ精神だけは旺盛で、誰も知らない誰も作ったことが無いものを作ってみよう!!と、「足太あわび茸」という、当時とても珍しい「キノコ」の栽培をしたものですから、立ち上げ当初は販売に大変苦労いたしました。
初めて百貨店の催事に一週間出展した時のことです。別に売れなくてもいい、とにかく宣伝になればと自ら店頭に立ち、来る人、来る人に「足太あわび茸」の説明を繰り返ししておりました。
「人参」や「大根」というような誰でも知っているものでは無いので、お客様の方も「これは何ですか?どうして食べるの?」と興味を持っていただけます。
しかし、買ってくださるお客様もいれば、説明を一通り聞いても買わずに立ち去る方もおられました。
毎日へとへとになりながらも、元気いっぱいの笑顔で試行錯誤しながら販売を繰り広げていると、買わずに立ち去った方が「やっぱり買ってみよう」と戻ってきてくださいました。
モノを売るって本当に大変。でも苦労して売れた時は本当に嬉しい!!
そして、前日に購入されたお客様が次の日も「美味しかったわ」「あわび茸のファンになったわ」とリピートいただいた時は本当に嬉しくて、ガソリンを販売している時には得られなかった喜びを感じることができました。
その時に「有難い!!」という気持ちが心の底から湧き上がってきたのです。
誰も知らないものを売る苦労に比べれば、ガソリンのように認知度のある商品を売ることなんてとても簡単なはずであります。
「ガソリンはいかがですか?」「ガソリンの引火点は何度で、着火温度は何度です。」などと言う説明もいらず、燃料が減ったら買いに来てくださる。なんて有難いことでしょうか。
恥ずかしいことに、売れている時は、そのことに気づかずそれが当たり前の事になっていたのです。電話一本でご注文いただける有難さかな。
わたくしは、キノコの販売を通して「モノが売れるということは決して当たり前のことではない。」と言うことに気づかされました。
当たり前のことにまず感謝をしよう。
その後ガソリンスタンドはソフトランディングで廃業し、食品関係は「(株)ヌーベルムラチ」。デザイン関係は「ムラチ(株)」と分社し、現在に至りますが、両社ともに「サービス業」と言うスタンスは変わっておりません。
ご注文をいただける事にまず「感謝」し、お客様のためにベストを尽くす。
精一杯のサービスをしたことによりお客様の方からも「ありがとう」と言っていただけたときに「嬉しい」と思える心。そんな仕事をすることで「みんなの幸せ」「物心両面の幸せ」が実現できる。このような気持ちで今日まで仕事を続けてまいりました。
当社の経営理念「当たり前のことに感謝し、お客様第一主義に徹する」はわたくしの心の底から溢れ出てきた言葉です。
とても綺麗ごとな理念と思われるかもわかりませんが、汚いごとより綺麗ごとの方が断然いいに決まっています。
綺麗ごとを貫き通すことによっていつかそれが実現できると信じている次第でございます。
ムラチ株式会社
代表取締役 邑地礼子